軽貨物ドライバーの皆様、確定申告の準備はしっかりされていますか?年間を通じて稼いだ収入に対する税金を計算し、正しく申告する必要があります。

正しく申告するためには、確定申告の概要やどのような経費が認められるのか?などあらかじめ知っておくことはとても重要なことです。この記事では、確定申告が必要となる条件や、経費に計上できる代表的な費用について説明していきます。

※この記事は2024年3月時点の情報に基づいて作成しています。

確定申告とは?

  • 確定申告は、1年間(1月1日~12月31日)の収入と支出から正しい税金を計算し、国に報告する手続きです。

軽貨物ドライバーの場合も、仕事で得た収入からガソリン代や車両の修理費などの経費を引いた後の利益(所得)に対して、この手続きを行います。年間で一定額以上の収入がある場合、翌年の3月15日までにこの確定申告をする必要があります。正確に申告することで、過払い税金の還付を受けたり、納付が必要な税金を納めることになります。

軽貨物ドライバーは確定申告しないといけない?

個人事業主として軽貨物ドライバーのお仕事をしている方で、年間の所得が一定額(個人や世帯の状況によって異なります)を超える場合は確定申告が必要です。

※参考:運送業・軽貨物ドライバーの確定申告の方法は?青色申告や経費についても解説 | マネーフォワード クラウド

【補足】副業で軽貨物ドライバーのお仕事をしている場合は?

副業で軽貨物ドライバーのお仕事をされている方も年間の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

確定申告の申告手続きは青色申告と白色申告で異なる

  • 確定申告をする際には、「青色申告」と「白色申告」によって申告手続きが異なります。

青色申告を選択した場合、複式簿記という方法で記帳していく必要があります。この記帳方法に不安がある方は、税理士に相談するか、会計ソフトを活用すると良いでしょう。

複式簿記を用いて正確に記帳を行うことにより、最大65万円(もしくは55万円)までの所得控除が適用されるほか、損失を3年間繰り越せるなど、税金面で大きな利点があります。

一方で、白色申告は単式簿記によるシンプルな記帳で済むなど、青色申告に比べて提出書類がやや少ないといった特徴があります。

確定申告に必要な書類(青色、白色申告共通)

確定申告する人によって必要になる書類は異なります。青色申告と白色申告に共通して必要になる書類は、以下の通りです。これらの書類を準備し、正確に記入・提出することで、スムーズに確定申告を行うことができます。

確定申告書1年間(1月1日~12月31日)の収入、経費、最終的な所得を報告するための主要な書類です。
本人確認書類     マイナンバーカードや通知カード等、マイナンバーが記載された本人確認書類。マイナンバーカード以外の場合は「マイナンバーが確認できる書類」と運転免許証やパスポートなどといった「身元確認書類」がセットで必要です。
所得金額が
わかるもの
青色申告なら「青色申告決算書」、白色申告なら「収支内訳書」が必要です。
各種控除申請に
必要な書類
医療費控除、住宅ローン控除、寄付金控除など、特定の控除を申請する際に必要な領収書や証明書類。
銀行口座が
わかるもの
還付金の振込先となる銀行口座の情報を示すための通帳やキャッシュカード。

確定申告を自分でする場合は会計ソフトが便利

会計ソフトを利用することで会計業務を効率化することができます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

個人事業主の経費として認められるもの

青色申告で確定申告を行う際、経費としてあてられる代表的な勘定科目の簡単な説明と具体例についてご紹介いたします。
※詳細については、専門的に説明しているサイトのリンクを掲載しておりますので、そちらをご参照ください。

なお、事業内容や経費の使用内容によっては勘定科目が異なる場合がありますので、最終的に経費として計上できるかどうかは、税理士にご相談いただくことをお勧めします。

地代家賃

賃貸で事務所や営業所を構えている場合に発生する家賃代です。

もし、今住んでいる自宅が賃貸物件で事業と併用している場合は、家賃の中から家事按分して経費として計上することが可能です。

軽貨物運送事業での例でいうと、仕事の拠点となる事務所や営業所の家賃があげられます。
自宅を拠点としている場合は、先述した賃貸物件と同様で家事按分する必要があります。
また、事業で使用する車の月極駐車場代も地代家賃として計上することが可能です。
なお、コインパーキングの使用は、目的別に「旅費交通費」や「交際費」といったように勘定科目を使い分けることができます。

水道光熱費

仕事にかかる電気代や水道代、ガス代も経費にすることができます。
自宅を事務所や営業所として使用している場合は、こちらも家賃と同様、家事按分して計算が必要です。

軽貨物運送事業での例でいうと、営業所や事務所の電気代や水道代が該当します。ガス代は事業によっては仕事に必要のないことが多く、経費として認められないケースがあるため注意が必要です。

広告宣伝費

広告宣伝費は、一般的には自社商品やサービスなどの広告運用費や求人掲載費などが該当します。

軽貨物運送事業での例でいうと、ドライバーや事務員を募集するために求人誌やネット求人などで広告をだした際に発生する広告掲載費などがあります。

通信費

仕事で使用するネット回線や携帯電話の利用に伴う通信費が該当します。さらに、自身でレンタルサーバーを借りてサイトを運営する際のサーバー費用や、サブスクリプションのクラウドストレージサービスなども通信費として計上が可能です。

軽貨物運送事業での例でいうと、仕事で使用する携帯電話やポケットwifiの料金、事務所で使用しているネット回線の使用料などが該当します。こちらもプライベートと併用している場合は、家事按分して計算する必要があります。

旅費交通費

業務上の移動や出張に関わる費用が該当し、これらを経費にすることが可能です。交通費だけではなく、出張時の宿泊費なども含みます。

軽貨物運送事業での例でいうと、取引先への訪問時にかかった高速道路の料金や駐車場代などの交通費などが該当します。

消耗品費

仕事で使う文房具などがこの消耗品費に該当します。消耗品の代表的なものとしては、ボールペンやホッチキス、プリンターのトナーやコピー用紙といった仕事で使用する事務用品があげられます。

軽貨物運送事業での例でいうと、仕事で使用する道具や車載グッズ、自動車のメンテナンスに必要なカー用品、その他事務用品などの費用を消耗品費として計上するケースが多いでしょう。一般的に10万円未満で購入したものや、使用期間が1年に満たないものは、「消耗品費」として経理上の経費として扱うことができます。

減価償却費

車両や機械装置など、一般的に時の経過等によってその価値が減っていく資産を減価償却資産と言います。この減価償却資産の購入等に支払った金額は、一定の方法によって各年分の必要経費として計上することができ、これを減価償却費と言います。

計上の方法等は資産の種類や金額によって異なるため、税務署や税理士に確認することをおすすめします。

車両費

車両費とは、車を維持(管理)するために必要な経費です。
ガソリン代や有料道路料金、車両メンテナンスや修繕費、洗車代など日常的に必要になるものに加え、検査登録費用や車庫証明手続代行費用、車検費用など、事業で使用する車に関係するものが車両費で計上できます。

ガソリン代は、車の使用頻度によって車両費の他に「旅費交通費」、「消耗品費」などの勘定科目に仕訳することも可能です。

利子割引料

業務用車両を購入するために組んだ自動車ローンや、事業運転資金としての借入れにかかる利息は、「利子割引料」として計上します。ただし、自動車ローンの返済における元本部分は経費には含めることができないので、この点には注意が必要です。

参考:https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/55915/

損害保険料

自賠責保険や任意で加入する自動車保険で支払った保険料は、「損害保険料」として事業経費に計上することができます。

さらに、事務所の火災保険料を含む、その他の損害保険料も経費として計上可能です。

租税公課

自動車税、事業税、固定資産税、不動産取得税といった一部の税金は、「租税公課」として事業経費に加えることが可能です。加えて、商工会議所や業界団体の会費も経費として認められます。

一方で、所得税、住民税、国民健康保険税(※)、国税にかかる延滞税や加算税などは、経費に含めることはできません。
※地域によっては、国民健康保険料の代わりに国民健康保険税として徴収される場合があります。

会議費・接待交際費

取引先との打ち合わせ時にかかった飲食費は、「会議費」として経費に含めることができます。この会議費は、一人当たり5,000円未満の支出が目安とされています。

さらに、取引先との旅行や宴会での接待、お中元やお歳暮の購入費用も「接待交際費」として経費計上が可能です。ただし、プライベートでの支出とははっきりと区分けすることが求められます。

一般的に個人事業主の経費として計上できないものは?

経費として計上できない分かりやすい例としては、プライベートで使用しているものの費用や税金、国民健康保険などの社会保険料があげられます。
また仕事中であったとしても、駐車違反やスピード違反などの交通反則金も経費に計上することはできません。

経費とプライベートでかかる費用とが混同しないように、日頃から管理を工夫し、徹底しましょう。経費計上の可否判断が難しいようであれば、税理士に依頼することをお勧めします。

まとめ

税理士に相談

個人事業主として働く軽貨物ドライバーは確定申告が必要です。

確定申告軽貨物運送事業で経費として計上されるものでいうと、自動車保険(任意保険)やガソリン代、車両メンテナンス費用、そして、軽貨物車両の購入にかかった費用など、車に関係する費用の割合が多いと思います。
割合は少ないにしても「通信費」や「旅費交通費」など、車に関係する費用以外でも経費として計上できる費用も数多くあるので、正しい知識を身につけて、確定申告に生かしていきましょう。内容によっては、経費計上の可否に関して自分で判断するのがとても難しいことがあります。少しでも不安がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。

また、仕事でかかった出費に関しては、常に領収書をもらうようにしましょう。なお、確定申告で申告した費用の領収書は、7年間の保存義務があるので、長期的に大切に保管してください。

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