多くの業界には来客や商品の注文が普段に比べて多く、特に忙しい時期である「繁忙期」と言われる時期があります。社会インフラとして日々動いている軽貨物運送業界にもこの「繁忙期」はあります。軽貨物運送自体が人々の生活と密接に関わっていることから、消費者目線からも軽貨物運送業界の繁忙期はイメージしやすいかもしれません。一方で、軽貨物運送業における繁忙期が「平時と比べてどれぐらいの違いがあるのか」や「理由は何なのか」といった繁忙期の詳細に関しては、あまり認知されていないように思います。
また、軽貨物運送業の繁忙期に関する情報は、ドライバーにとっては「売上アップを狙えるタイミング」を把握する上で重要な情報となります。さらに、軽貨物業者の配車担当者にとっては、繁忙期に向けた車両台数確保等の事前準備に生かすことができます。
そこで今回は、MIRAISがもつ運送データを用いて軽貨物運送業における「繁忙期」の詳細を明らかにしていきます。なお、軽貨物運送の中でも「定期配送」と「スポット配送」では繁忙期の内容や詳細が異なることから、今回は「スポット配送」に焦点をあてて述べていきます。
- 対象期間 ：2021年1月1日～2021年12月31日
- 対象配送 ：スポット配送
スポット配送件数が最も多い月は？？
まずは、スポット配送の件数を月別で比較してみていきます。件数の上位・下位それぞれ2カ月を除いた月（＝平月8ヵ月）の平均値を「１」として、月ごとの配送件数を比較した結果がこちらです。
- 最もスポット配送件数が多い月は12月という結果でした。平時の平均値と比較すると12月は192％という結果になっており、平時の約2倍の配送件数があったことがわかりました。
閑散期と比較すると3倍以上の配送件数になっており、繁忙期と閑散期の波動が大きいこともわかります。
軽貨物業者ごとに取り扱っているスポット配送案件の種類が異なることから、データも会社ごとに変わってくるとは思いますが、上記の結果から、12月は軽貨物運送業における「スポット配送の繁忙期」の一つであると言えます。
12月のスポット配送が多い要因
次に、「なぜ12月にスポット配送が多くなるのか」について、その要因をみていきます。まず、“12月にのみ”生じたスポット配送案件を調べたところ、以下の２つの配送案件の受注が特に多くみられました。
- クリスマスケーキ配送
- お節配送
クリスマスやお正月といったイベントにより、平時にはない配送案件が生じたことが12月のスポット配送が増えた要因の一つであることがわかります。お節はお正月に消費されるものですが、12月31日に冷蔵や冷凍の状態で配送するといったスポット配送案件が多くあります。
また、後述する年間を通して生じるスポット配送案件である「企業・団体向けお弁当配送」をみても、12月の配送件数が最も多くなっています。12月に弁当配送案件が増加する理由は、クリスマスパーティや仕事納めに伴う食事会、団体の納会などでお弁当の受注量が増加するためです。
以上のことから、年末年始のイベントに伴い季節限定の配送案件が生じることや既存配送の需要自体が増加することが、12月のスポット配送案件が多くなる要因であると言えます。
お弁当配送からみる繁忙期
最後に、スポット配送案件の中でも代表的な配送案件である「企業・団体向けお弁当配送」に焦点をあてて、繁忙期をみていきます。
先ほど同様、件数の上位・下位それぞれ2カ月を除いた月（＝平月8ヵ月）の平均値を「１」として、月ごとのお弁当配送件数を比較した結果がこちらです。
- 先述した通り、企業・団体向けのお弁当配送においても、最も件数が多い月は12月という結果でした。平時と比較して約1.4倍の配送件数になっています。
- 年が明けた1月、2月は配送件数が平均的かそれ以下になりますが、3月になるとまた増加します。平時の平均値と比較すると3月は124％という結果になっています。
3月に団体向けのお弁当配送が多くなる理由は、教育機関への配送が増えるためです。卒業式や卒園式後の職員の食事会に向けたお弁当配送が多くあります。ここからもスポット配送の繁忙期は、イベント時期と重なるということがわかります。
まとめ
今回は、MIRAISのデータをもとに、軽貨物運送業における「スポット配送の繁忙期」について紹介しました。
先述した通り、軽貨物業者ごとに取り扱っているスポット配送案件の種類が異なるため、データも会社ごとに変わってくることはあると思います。しかし、その中でも軽貨物運送業における「スポット配送の繁忙期」について共通して言えることは、
「季節イベントがある時期にスポット配送は増える」
ということです。
12月のクリスマスやお正月に向けた配送、3月の卒業式や卒園式に伴う配送など、イベント時期は配送需要自体が増加することに加え、その時期のみの特別なスポット配送が生じます。
軽貨物ドライバーのみなさん、日頃の配送のスキマ時間を活用して売上をアップさせるには、「イベント」が狙い目です。
軽貨物業者のみなさん、「イベント」の1ヶ月から2カ月前には、繁忙期に備えた車両台数確保の動きをとるようにしましょう。
今回の記事が、軽貨物運送業に携わる方にとって少しでも役立つものになってくれたら幸いです。
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