近年、物流における様々な諸課題が問題提議されています。こうした中で注目されている「ホワイト物流」という用語をご存知でしょうか。

今回は、この「ホワイト物流」の概要とホワイト物流を実現させるための取組みについて、具体例も交えながら説明します。

ホワイト物流とは?

ホワイト物流とは、物流業界における労働環境の改善を目指す取り組みのことです。
具体的には、「トラック輸送の生産性向上と物流の効率化」そして、「女性や60代の運転者等も働きやすい、より“ホワイト”な労働環境の実現」を目的としています。

物流業界では、長時間労働や過重労働といった労働環境の悪化などが課題とされています。これにより、トラックドライバーの人手不足や離職率の上昇といった問題が生じています。ホワイト物流は、こうした課題を解決し、持続可能な物流環境を実現するための取り組みとして注目されています。

ホワイト物流の実現により期待される効果としては、以下のことが挙げられます。

  • 労働者の健康や働き方の改善
  • 労働生産性の向上
  • 人材確保
  • 物流の効率化による二酸化炭素排出量の削減

この他、企業にとっての派生的なメリットとして、「ホワイト物流に関する活動に参加している企業=社会貢献度の高い企業」として社会的に認知され、会社のブランディングに寄与することにもつながります。

なお、ホワイト物流への取り組みに関しては、国や業界団体も関与しながら、企業と労働者が協力して取り組まれています。

政府も推進しているホワイト物流推進運動

国土交通省も「物流業界の人手不足」を大きな課題と捉えており、物流業界の労働環境改善を主な目的とした「ホワイト物流推進運動」という活動を展開しています。

この活動の詳細については、国土交通省が運営する以下のウェブサイトをご参照いただくと、より深く理解できます。

ホワイト物流の実現に向けた取り組み

ホワイト物流の実現に向けた具体的な取り組みについて、一部をご紹介します。

労働時間の見直しと適切な休息時間の確保

ホワイト物流では、長時間労働や過重労働を解消するために、労働時間の見直しや休息時間の確保が重要な取組みになります。適切な労働時間や休憩時間の設定により、ドライバーの健康や安全性を考慮した労働環境を整えることができます。

荷待ち時間の削減

「荷待ち時間」とは、諸般の事情によりドライバーが待機している時間のことを指します。この荷待ち時間は、ドライバーの長時間労働の原因の一つになっています。

荷待ち時間の解消には、トラック受付予約システムの導入が効果的です。これにより、待ち時間なく積卸をすることができるため、長時間労働の是正に寄与します。

荷役作業の負担軽減

大量の荷物の積卸作業は肉体的な負担が大きくなります。荷役作業の負担軽減には、パレットやフォークリフトを活用することが効果的です。

こうした取組みを実践することでドライバーの肉体的な負担軽減を図ることができ、また、全体的な作業時間の短縮にもつながります。さらに、女性や高齢者も働きやすい環境を整えることができるので、人手不足解消の効果も期待できます。

まとめ

今回は、ホワイト物流について説明しました。ホワイト物流を実現させることは、物流という社会インフラを維持する上で極めて重要な事項であり、社会的に大きな意義を持つことがわかりました。

なお、ホワイト物流の実現には、物流に関わるすべての人たちが「配送ドライバーの負担を少しでも軽減する」という意識をもつことが重要です。

この記事を通じて、ホワイト物流の重要性への理解を深めると共に、ドライバーの負担軽減に対する意識の向上につなげていただけたら幸いです。

関係する記事はこちら