ドライバー不足が深刻化する中、国土交通省は再配達削減を図るため、宅配ボックスや置き配をはじめとした様々な方法での荷物の受取を推進しています。

今回は、国土交通省が毎年4月と10月の年2回実施している「宅配便の再配達率に関するサンプル調査」のデータを基に、2022年の再配達の状況はどうだったのかを振り返りたいと思います。

宅配の再配達が引き起こす問題

国土交通省の報道発表資料によれば、宅配の再配達が引き起こす問題として、ドライバー不足の深刻化やCO2排出量の増加などを挙げており、宅配の再配達を重大な社会問題の一つとして捉えています。

再配達の削減を目指し、引き続き取り組みを行っていくことを述べています。

国土交通省による再配達削減に向けた推進活動

国土交通省は、トラックドライバーなどの物流における人材の不足が深刻化している状況を受けて、その大きな原因の一つである再配達の削減を目指し、宅配ボックスや置き配など多様な方法による荷物の受取を推進しています。

そして、これらの推進活動からどのような成果が継続的に出ているのか把握することを目的に、宅配の再配達率のサンプル調査を年2回(4月・10月)実施しています。

令和4年の再配達に関するデータ

国土交通省のサンプル調査によれば、以下のような調査結果がでています。

調査結果4月推移

※大手宅配事業者3社の合計数値

注1:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」より
注2:国土交通省「令和2年度宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」より

引用:報道発表資料:令和4年4月の宅配便の再配達率は約11.7% – 国土交通省

調査結果10月推移

※大手宅配事業者3社の合計数値

注1:経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」より
注2:国土交通省「令和3年度宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」より

引用:報道発表資料:令和4年10月の宅配便の再配達率は約11.8% – 国土交通省

・令和3年10月の宅配便再配達率は約11.9%
・令和4年4月の配便再配達率は約11.7%
・令和4年10月の宅配便再配達率は約11.8% 

令和4年10月の宅配便再配達率は約11.8%で、前年同月(約11.9%)と比べて約0.1%ポイント減、 本年4月(約11.7%)と比べて約0.1%ポイント増となりました。

引用:報道発表資料:令和4年10月の宅配便の再配達率は約11.8% – 国土交通省

再配達を社会問題として捉え、課題解決に向けた取り組みを行っているものの、データからわかることとして、現状、その成果が大きく表れているとは言い難い状況です。今後も引き続き再配達削減に向けた取り組みを強化していく必要性があると言えます。

今後の再配達削減に向けた具体的な取り組み

国土交通省では、引き続き再配達の発生状況を継続的に把握するとともに、民間事業者や関係省庁と連携しながら、宅配ボックスの活用や置き配の普及・促進等に向けた施策を進め、引き続き宅配便の再配達削減に取り組んでいくこととしています。

引用:報道発表資料:令和4年10月の宅配便の再配達率は約11.8% – 国土交通省

取り組みの具体例の一つとして、再配達を減らす取り組みを紹介し、普及に向けたポイントを整理した「多様なライフスタイルをささえる持続可能な宅配の実現に向けた手引き」を公開してます。同手引きでは、BtoC配送モデル、幹線輸送モデルの各手引きやセミナー動画等を公開しています。

まとめ

国としても再配達問題を一つの社会問題として捉えており、解決に向けた様々な施策や取り組みを発表しています。直近では、先述の宅配ボックスの活用や置き配の普及・促進、各種動画の公開といった様々な取り組みを実施しています。

当然のことながら、再配達は軽貨物ドライバーにとってとても身近な問題です。軽貨物ドライバーの視点で言えば、この再配達の問題が改善できれば、より効率的な配達が実現できるはずです。それは結果として、宅配サービスを維持していくことに繋がります。

宅配という生活に欠かすことができないサービスをこの先も維持していくために、様々な再配達削減に向けた取り組みを普及させると共に、一人ひとりがこの問題に対する認識を深めていくことが大切だと思います。