「ラストワンマイル」という言葉をご存知でしょうか?各種メディアにおける物流関連のニュースで、よく耳にするという方もいるかもしれません。
今回は、物流業界における「ラストワンマイル」とはそもそも何なのか、そして、それにまつわる課題と解決のための取り組みについて説明していきます。

ラストワンマイルは物理的な距離を指す意味ではない?

ラストワンマイルという言葉は、元々は通信業界で使われていた言葉になります。

インターネットが一般普及しはじめた1990年代後半に、各通信業者の基地局とその利用者を繋ぐ最後の区間を指す言葉でした。

物流業界におけるラストワンマイルの意味は?

物流業界において使われているラストワンマイルは、物流サービスの最終拠点からエンドユーザーである利用者までの最後の区間を意味します。

年々EC市場が拡大することにより宅配等の需要が急増しており、物流業界はこのラストワンマイルにまつわる課題に直面しております。

日本におけるラストワンマイルの課題とは?

具体的な課題は、以下になります。

課題
  • 配送ドライバーの不足
  • 再配達の対応

オンラインショップの利用者拡大に伴い宅配便の取扱量が増大しているにも関わらず、配送ドライバーの人員確保が追いついていない現状があります。また、宅配はどうしても再配達が多くなりがちで、これによりドライバーの業務効率も低下してしまいます。

なぜラストワンマイルに課題が集中するのか?

ラストワンマイルの一つ前の物流過程となる物流倉庫内作業では、ロボットによる自動化が急速に進んでいます。これにより、倉庫内業務の効率は格段に上がってきています。

しかし、ラストワンマイルにおける配送業務というのは、ロボットによる自動化が現状では難しいため、配送ドライバーに依存せざるを得ず、業務効率の向上が図りづらいという現状があるのです。

無人運転技術による進歩が解決のカギとなる?

ロボネコヤマト
ロボネコヤマト
引用:ヤマトホールディングス
デリロ
デリロ
引用:ZMP

日本では、配送ドライバー不足という課題を少しでも解決するため、各家庭での宅配ボックスの設置やコンビニでの受け取りサービスが普及し始めています。

また、近年では、ヤマト運輸とDeNAが共同開発した「ロボネコヤマト」と呼ばれる無人運転車両による配送実験や、株式会社ZMPによる宅配ロボット「デリロ」による実証実験が行われております。こうした最先端技術を活用したラストワンマイルにおける課題の改善が期待されています。

※参考:「ロボネコヤマト」4月24日に神奈川県藤沢市内で自動運転車による配送の実証実験を実施 | ヤマトホールディングス
※参考:無人宅配ロボット「デリロ」都心部モデル地区での活用ケース

まとめ

日本でラストワンマイルが課題となっている大きな要因は、配送ドライバーの不足と再配達の多さです。そして、それに伴い労働環境も厳しくなりがちで、さらなる配送ドライバー不足を招く可能性もあります。

2017年の宅配便取扱個数は42億5千万個といわれておりますが、その約2割が再配達物に該当しているといわれています。再配達により生じた労働力を配送ドライバーの人員に置き換えると、約9万人の配送ドライバーの労働分に相当します。
前述の「ロボネコヤマト」や「デリロ」といった自動運転技術の進歩が、課題解決に向けた大きなカギとなりそうです

【ENEOS × ZMP × anyCarry】自動宅配ロボットを活用したデリバリー事業の第2弾実証実験