EC市場の拡大やコロナ禍を契機とした“巣ごもり需要”の増加により、個人宅やオフィスに荷物を送り届ける軽貨物配送サービスに対する社会的ニーズは日々増しています。

そんな時代だからこそ、「軽貨物業界はきっと勢いがある業界だ!」と考え、軽貨物ドライバーというお仕事に興味を持ち始めた方もいるのではないでしょうか。

そして、こうした方の中には、「どんな人が軽貨物ドライバーという職に就いているのだろう?」と気になっている方もいるかと思います。また、気になるだけではなく、応募に際して「自分が応募して場違いではないか?」など、漠然とした不安を感じることもあるかもしれません。

こうしたことから、「軽貨物ドライバーの応募者に関する情報」というのは、ドライバーを希望する方にとって必要な情報の一つであるといえます。しかしながら、応募者に関するデータはネット上でも乏しく、なかなか情報を得ることができないというのが実情です。

また、ドライバー希望者だけではなく、MIRAISのような軽貨物業者にとっても、応募者に関する情報はとても重要であるといえます。なぜなら、軽貨物業界全体が抱えている「人手不足」という共通課題に対して、こういったデータをしっかりと分析し、活用することを通して、業界への人的流入を促していくことが軽貨物業者にも求められているからです。

そこで今回は、MIRAISがもつ軽貨物ドライバーの応募者に関するデータを公開するとともに、そのデータから見えてくる「軽貨物ドライバー応募者の実態」についても述べていきたいと思います。

【データ概要】
  • 対象期間:2020年1月1日~2020年12月31日 
  • 対象者:対象期間内にMIRAISに応募された方(649名)
    ※応募後の面談実施及び契約締結の有無は問わない
  • 募集エリア:東京都・神奈川県・千葉県
    ※同都県における一部エリアは除く

年齢層は「50歳~59歳」の層が最も多い 

まずは、応募者の「年齢」について、年齢層を10歳ごとに区切り、その割合をみていきましょう。
※最若年層のみ18歳~29歳とする

応募者の年齢の割合

最も多い層は、「50歳~59歳」で26.0%。次いで「40歳~49歳」が19.4%という結果でした。

この2つの層で全体の45.4%と約半数を占めており、軽貨物ドライバーに応募してくる方の年齢層は、新卒採用を主としているような業種と比較すると高い傾向にあるといえます。応募前から軽貨物運送業を営んでいた方もいらっしゃいますが、後述する「未経験者」の応募者の割合も比較的高いことから、セカンドキャリアとして軽貨物運送業を開業し、個人事業主として独立される方も多いことがうかがえます。

最若年層である「18歳~29歳」の応募者の割合は、19.1%にとどまっており、決して高いとはいえません。業界の活性化をより図っていくためにも、若年層の流入を促していくことは業界全体の課題であるといえます。

応募時に配送車両を所有している方の割合は?? 

次に、軽貨物運送業を営む上で欠かすことができない「配送車両」について、応募時点で「配送車両を所有しているかどうか」についてみていきます。

配送車両の所有の有無

意外と思われる方も多いかもしれませんが、応募時点では「配送車両を所有していない方」が51.0%という割合になっており、ほぼ同率とはいえ「配送車両を所有している方」より多いということがわかりました。

当然のことながら、軽貨物運送業は商業用軽自動車を用いて荷物を配送するお仕事なので、配送用の車両がないと業務を行うことができません。では、応募時に「配送車両を所有していない方」は、業務委託契約後に車両をどのように準備しているのでしょうか。

もちろんご自身で車両を購入される方もいらっしゃいますが、それ以外の方法として、軽貨物業者やリース会社から車両をリースするという方法があります。

「軽貨物ドライバーに興味はあるけど、配送用の車両をもっていないし、購入する資金もないから応募ができない…」と考えている方は、リース制度の活用を視野に入れて応募してみてはいかがでしょうか。軽貨物業者のドライバー求人用サイトには、車両リース制度に関して記載があるものが多いので、応募前に事前に確認しておくと良いでしょう。

「軽貨物運送業未経験」の応募者の割合は?? 

次に、応募者における軽貨物運送業の経験の有無についてみていきます。

軽貨物運送業の経験の有無

結果は、「経験者」が59.6%で、「未経験者」が38.5%でした。

約6割の方が経験者ということで、軽貨物業界内で「軽貨物業者から別の軽貨物業者へ」という人の流れが多いということがうかがえます。個人事業主の軽貨物ドライバーは、業務を受託する先を自由に選択することができます。よりよい条件の配送案件を受注するために、ドライバーが業務委託契約を締結する軽貨物業者を切り替えるということは珍しいことではありません。そういった理由から業界内での人の移動が多くなっていると考えられます。

一方で、「未経験者」の割合も38.5%と全応募の約4割を占めており、未経験者の方からの応募も多い業界だということがわかります。先述した「車両所有の有無」に関するデータもふまえてみてみると、「配送業務が未経験で、配送車両もない」という方は、応募に際して不安を感じることが多いかもしれませんが、そういった方でも軽貨物ドライバーに興味があれば、前向きに応募を検討すべきだといえます。

月別の応募者数は?? 

最後に、月別の応募者数について紹介します。

月別応募者数

こちらは、年末年始から年度終わりまでの12月から3月にかけて応募が少ない傾向にあります。また、連休が多い5月や9月も他の月と比べて少なくなっています。

それ以外の月に関しては、応募者数に特段大きな変化はなく、ほぼ横ばいであるといえます。

なお、データ上で応募者数が少なくなっている12月や3月は、軽貨物業界の繁忙期でもあります。軽貨物業者にとってこの時期は、特に応募者を増やしたい時期でもあるので、興味がある方はぜひ年末や年度末であっても応募を検討してみてください。

また、軽貨物ドライバーを募集している軽貨物業者は、そのほとんどが時期や月を問わず、年間を通じて募集活動をしています。

応募をする時期に関しては、ご自身が「やりたい」と思ったタイミングが最適な時期であると考えて良いと思います。

面談者のデータをみてみよう

補足のデータとして、応募後の次のステップとなる「面談」を行った方に関するデータの一部を紹介します。
※対象者:2020年1月1日~2020年12月31日の期間内にMIRAISにて面談を行った方

男女比では、男性の方が圧倒的に多い

面談を行った方の男女比は、男性が95.6%、女性が4.4%で圧倒的に男性が多いという結果でした。この結果だけをみると、やはり女性の進出はかなり遅れている業界であるといえます。

しかし、軽貨物運送業にはさまざまな業務があるため、男性よりも女性の方が向いている配送業務が多数あることも事実です。実際に、現場で活躍されている女性ドライバーも多くいらっしゃいます。

このような点をもっと業界全体でアピールして、女性の業界進出を促していく努力をしていくことが必要です。

希望の売上額は?

面談時に聞いた「希望売上月額」をまとめた結果がこちらです。

希望売上月額

月の希望売上額について最も多い層は、「30万円~40万円未満」で37.5%。次いで「40万円~50万円未満」が20.0%という結果でした。この2つの層で全体の約6割を占めており、軽貨物ドライバーを希望する方の多くは、この仕事を生計の軸にしようと考えていることがわかります。

また、「その他」が24.4%と比較的多くいます。このほとんどは「応相談」の方で、事前に希望売上額を決めて面談に臨まれているのではなく、面談での話をふまえて売上額を決めるという方です。

特に軽貨物運送業が未経験の方は、面談前に売上額に対してのイメージをもつことは難しいと思うので、このように面談を通して様々な情報をしっかりと聞き、請け負う配送業務と売上報酬を決定すると良いでしょう。

「車両」も「経験」もなくて大丈夫!(まとめ)

今回は、MIRAISのデータをもとに「軽貨物ドライバー応募者の実態」について紹介しました。

今回のデータはあくまで一例ではありますが、「配送車両を持っていない応募者の方が多い」ということや「配送未経験者が約4割の応募を占めている」など、特筆すべき様々な「応募者の実態」をみることができたと思います。

軽貨物ドライバーは車両を使って業務を行うため、「応募時には車両を所有していないとだめだ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、実態は違います。配送車両がなくても応募すること自体に全く問題はないのです。

冒頭で述べた通り、軽貨物ドライバーというお仕事に興味を持ち始めた方の中には、応募に対して様々な不安をもっている方もいるかもしれません。そういった方にとって、この記事が「自分も応募してみよう!」と決断する際の一つのきっかけになってくれたら幸いです。

また、軽貨物業者の方にも今回のデータを活用していただき、この記事が軽貨物業界への人的流入を促す一助になれたらと思います。

リアルなデータを基にした記事はこちら!/