軽貨物ドライバーとしての仕事の一つに、特定の荷物を専属的、または優先的に運ぶチャーター便があります。特に出荷主の急ぎの依頼であれば、通常の運賃よりも高く設定される場合もあるので、状況に合わせて適宜対応できるようにしておくことが大切です。

今回は、この軽貨物チャーターのメリットやデメリット、金額設定におけるポイントついてお話します。

軽貨物チャーターのメリット

はじめに軽貨物チャーターのメリットについて解説します。

通常の配送便よりも単価が高い

軽貨物チャーターは、通常の配送便よりも単価が高いことがメリットです。一般的には通常の運賃とは別でチャーター料金が設定されており、単価そのものが高いため効率的に稼ぐことができます。

軽貨物チャーターを専門にしている軽貨物ドライバーもおり、チャーター便を受注できるコネクションをもち、うまく案件を組み立てることができれば件数が少なくてもある程度の収入が得られるようになります。

きちんと対応することで信頼関係を築ける

軽貨物チャーターは、依頼主が急ぎの場合や困っている状況での依頼もあるため、これにきちんと対応することで、依頼主と信頼関係を築きやすいというのもメリットの一つです。

出荷ミス等のトラブル時において、配送先の強い希望に基づく依頼だったのであれば、出荷元である依頼主は「悪状況を改善してくれた」ということで、とても感謝をしてくれます。

もちろん無理難題と言える依頼内容の場合もあるので受注には注意が必要ですが、定められた時間内に届けられるかを十分に精査した上で着実に対応していければ、次の依頼や継続的な依頼にもつながっていくでしょう。

荷主だけでなく横のつながりから依頼されることもある

軽貨物チャーターは普段受注している荷主だけでなく、軽貨物ドライバーの横のつながりから依頼されることがあるのもメリットです。別のドライバーが自分の得意先から依頼をされたが対応できない、という状況の時に依頼されることがあり、仕事の幅を広げることができます。

また、こうした案件に対応することで、逆の立場になった際、今度は自分がそのドライバーに依頼することもできるようになります。

その他にも、中には短い時間で完了するチャーター便もあり、日頃の業務とうまく案件の組み立てができれば、空いた時間を有効活用することができるというのもチャーター便のメリットと言えます。

軽貨物チャーターのデメリット

次に軽貨物チャーターのデメリットについて解説します。

突発的な依頼だけだと収入が安定しにくい

軽貨物チャーターは単価が高く魅力的ですが、チャーター便の多くは突発的な依頼です。ですので、チャーター便だけだと収入が安定しにくいというデメリットがあります。実際に一度高めの単価で引き受けてしまうと、普段の運賃の単価が安く感じてしまうため、チャーター便だけをやりたくなってしまうのは仕方がないことと言えます。

しかし、軽貨物ドライバーはたくさんいますし、突発的な依頼の背景には普段、依頼している信頼できるドライバーがたまたま対応できなかっただけという場合もあります。

自分自身が信頼できるドライバーになり、継続的に依頼をされる状態をつくれないと、チャーター便だけに頼るのは収入的に厳しくなる可能性があるということを覚えておきましょう。

通常配送とのスケジューリングが難しい

軽貨物ドライバーは、特定の荷主や運送会社と契約し、通常配送として決まった日時に定期的に配送するお仕事をもっている場合が一般的です。そのため軽貨物チャーターの依頼が来たとしてもスケジュールが合わず、高単価であっても引き受けられないということがあるのです。

前述したように、依頼主としては困った状況を改善してほしくて依頼するケースが多く、これに対応できないということが続けば、必然的に他の人に依頼がいき、声がかからなくなってしまいます。通常配送との時間的な折り合いがつかないと受注できないという点は、デメリットと言えるでしょう。

ただし、日々必ず同じ時間帯に届ける定期便のようなチャーター便もあり、このケースは通常配送との組み合わせも比較的容易であるため、このようなチャーター案件はできるだけ引き受けるようにしましょう。

遠隔地へのチャーターは帰り荷がないと金額的に厳しいこともある

遠隔地へのチャーターで帰り荷がないという場合、行きの荷物の単価が高かったとしても往復の時間単価でみると割安になってしまう可能性もあります。遠くまで行っている分、帰りの時間も多くかかりますが、帰り荷がないとその時間の収入は0です。また、道路事情等により予定よりも帰りが遅くなってしまい通常配送に滞りが出れば、さらにマイナスになることも考えられます。

遠隔地へのチャーターの場合は、帰りの時間や荷物の有無も含めて受注するかどうかを検討するようにしましょう。なお、こうしたケースで帰り荷を確保しやすくするために、日頃から軽貨物運送業者と関係性を構築しておくことも重要です。

軽貨物チャーターの金額設定

次に軽貨物チャーターの金額設定についてポイントを解説します。

チャーター便の相場を把握しておくことが前提

チャーター便の金額設定については、まず相場を把握しておくことが前提になります。金額の詳細は荷主や運送会社ごとに異なりますし、ドライバーごと地域ごとにも異なるためバラつきはありますが、様々な情報に触れて大体の相場を把握することから始めましょう。

大抵の場合は、依頼時に「この金額でお願いできますか」と相談されると思いますので、その金額が相場から逸脱していないかどうかを精査し、引き受けるかどうかを判断しましょう。

状況に合わせて金額の増減に対応することも重要

チャーター便は基本的に依頼する側が設定した金額になりがちですが、状況に合わせて金額の交渉をすることも忘れてはいけません。例えば、繁忙期においては通常の金額で引き受けるのではなく、少し上乗せした金額を自ら提示するなどしましょう。

逆に仕事が少ない閑散期においては、仕事を受注するために少しだけ金額を下げて受注しやすくするということも重要です。

「空いた時間を無駄にしないこと」、「同じ時間で少しでも効率よく売上を上げること」が大切だということを覚えておきましょう。

得意先であっても安請け合いはしないこと

基本的には荷主や運送会社が相場よりも過度に安く依頼してくることはありませんが、例え得意先であっても安請け合いはしないということは覚えておいてください。一度でも過度に安い金額で受注してしまうと、それ以降は金額をあげられないこともありますし、自分が引き受けない場合でもその金額だけが残ってしまい、他のドライバーに迷惑がかかる可能性もあります。また、安請け合いすることで軽貨物チャーターの相場自体が下がってしまう可能性も否めません。

基本的には他のチャーター便と同等額で受注すること、また、繁忙期や閑散期においても増減させる金額幅をあらかじめ設定しておくことをおすすめします。

まとめ

今回は軽貨物チャーターのメリットやデメリット、金額設定におけるポイントについてお話しました。

軽貨物ドライバーとしては、通常の配送にプラスしてチャーター便にも対応できるようになれば、緩やかでも着実に右肩上がりで収入がアップしていきます。突発的で少々難しい場合であったとしても、できる限りは対応し、依頼主から優先的に依頼してもらえるような信頼関係を築けるように努めていきましょう。

また、チャーター便は通常配送よりも高単価になりやすい面もあるため、価格設定についても適切に行えるよう、事前の情報収集や価格設定を念入りにおこなっておくとよいでしょう。