今回は、「社内便」に焦点をあて、概要やメリット・デメリット、さらには運用のポイントと導入すべき企業の特徴についてお伝えします。

社内便とは?

社内便は、企業内や関連会社間で書類や製品、備品などの物品を輸送するための内部物流サービスです。外部の配送業者を利用せず、自社の車両やスタッフを活用することで、物流のスピードと効率を高めることができます。

複数の拠点をもつ企業や、重要書類の頻繁なやり取りが必要な業界で導入されることが多く、配送コストの削減や輸送の安全性・機密性を確保するために設けられます。

社内便のメリット

社内便は“企業内で運用する”という特徴から、自社の業務に特化したスケジュールやルートを設定することができます。

独自の物流システムを構築することができるため、配送時間を短縮したり、緊急対応が可能になるなどのメリットがあります。また、外部委託した場合にかかる物流コストを抑えることもできます。

社内便のデメリット

社内便は、効率的に運用すればコスト削減につながる一方で、運用方法によっては逆にコストが増えてしまうリスクも存在します。

まず、車両やスタッフを自社で保有する場合、初期投資として車両購入費や人件費が発生します。さらに、これらの運用を継続するためには、燃料費、メンテナンス費用、保険料などの維持コストもかかります。

もし、配送の頻度が少ない場合や効率的な運行計画が立てられなかった場合、外部業者を利用するよりもコストが高額になってしまう可能性があります。

また、社内便の運用には物流のノウハウが必要です。運行管理や配送ルートの最適化が十分に行われないと、無駄な時間や燃料がかかり、結果的にコストが増加してしまいます。

このように、社内便は計画的かつ効率的に運用しないと、期待していたコスト削減の効果が得られず、むしろ負担が増すリスクがあります。自社で対応するのか、外部へ委託するのかについては、事前に十分な検討が必要です。

社内便の運用ポイント

社内便を最大限に活用するためには、効率的な運用が不可欠です。では、効率的な運用を実現するために必要なことは何か。

それは、「運行スケジュールを最適化すること」です。これにより、無駄な運行を減らし、コスト削減に直結させることができます。

例えば、複数の配送を一度にまとめて行うことで、配送回数を削減し、燃料費や人件費を抑えることができます。

自社内の物流ニーズを的確に捉えて、それに対する適切な運行スケジュールを構築していくことが、社内便を運用していく上ではとても重要になります。

社内便を導入すべき企業の特徴

社内便はすべての企業に適しているわけではありませんが、特定の条件に合致する企業にとっては大きなメリットがあります。以下の企業は特におすすめです。

拠点が多く、書類等のやり取りが頻繁に行われる大企業

複数の拠点をもつ大企業にとって、社内便は効果的に働く場合が多いです。拠点間での備品や書類等のやり取りが頻繁に発生するような企業の場合、外部の配送業者を使うと多額の費用がかかりますが、社内便を導入することでこれらのコストを抑えつつ、スピーディで柔軟な配送が可能になります。複数の拠点間での連携が重要な大企業にとって、社内便の導入は業務の効率化とコスト削減の両方を実現します。

機密性が高い業務を扱う企業

機密性が高い業務やデータを扱う企業にとって、外部の物流業者に配送を依頼することはリスクを伴います。社内便ならば、重要な書類やデータを外部に委託せずに、その重要性を十分に理解した上で安全かつ迅速に配送できるため、リスク管理の面で安心です。金融関係や法律事務所、医療関係など、特に情報セキュリティが重要な企業には最適です。

まとめ

社内便は、柔軟なスケジュール調整や緊急対応、機密性の高い物品の安全な輸送を実現するなど、企業の内部物流において非常に有効な手段の一つといえます。特に、複数の拠点をもつ大企業や頻繁な書類のやり取りが求められる企業においては、コスト削減と業務効率化に大きく貢献します。

一方で、運用次第ではコストが増加するリスクもあるため、十分な計画と適切な管理が必要です。外部業者の配送サービスは、広範囲の配送や専門的な物流対応が必要な場合などに有効であり、車両や人件費の管理負担を軽減できるといったメリットもあります。

自社に社内便を設けるかどうかについては、「社内便」と「外部業者を利用した配送」、それぞれの特性をしっかりと理解した上で、自社の物流ニーズに応じて最適な選択を行うことが重要です。

\関連する記事はこちら/