登場から数年が経過し、世の中に普及し始めてきたドローン。ドローンと配送をかけ合わせた「ドローン配送」という新しい配送手法の実証実験が、すでに国内で行われていることはご存知でしょうか?今回は、国内におけるドローン配送の現状と課題について説明していきたいと思います。

※【関連記事】外国におけるドローン配送の事例【2021年】

ドローン配送の現状

日本では現在「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」という名でドローン配送の実証実験が行われています。

このプロジェクトには、

  • KDDI
  • 日本航空
  • JR東日本
  • ウェザーニューズ
  • Terra Drone

といった、日本の名だたる企業が参加しています。

実証期間は、2020年の8月〜2022年の3月を予定しております。実証実験の対象は、フードデリバリーや医薬品の配送の他、警備も含まれるなど多岐に渡っており、配送をはじめ様々なサービスへのドローンの応用が期待されています。

※【参考】「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」に参画|KDDI

国土交通省も着々と整備を進める

ドローンの本格的な商用利用に向けて、政府によるガイドライン策定やインフラ整備が進んでいます。

政府は2022年度を目途に「有人地帯上空での補助なし目視外飛行」を実現することを目標に掲げています。

そして、2021年6月4日には「航空法等の一部を改正する法律」が成立し、ドローンに関係する様々な規定が改正されました。

※【参考】航空安全:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 – 国土交通省

ドローン配送のメリット

ドローン配送が実現すれば、陸配送よりも早く目的地に荷物を届けることができるようになります。空を飛ぶので歩行者もいませんし、交通渋滞に巻き込まれることもありません。
さらに、建物などの障害物は地上よりもはるかに少なくなります。日本国内におけるドローンの飛行高度は、150m未満となっています。ドローン配送を行う場合に障害となるものは、大きなビルや鉄塔などの建物しかありませんので、直線距離に近いルートで荷物を届けることが可能になります。

もう一つのメリットとして、配送業界における人手不足の解消に繋げることができます。EC市場の拡大や宅配需要の急増により、配送業界は慢性的な人手不足に陥っています。こうした状況下において、ドローンによる空中からの配送を実現することで、ドライバー不足を補うこともドローン配送には期待されています。

ドローン配送の課題

しかし、まだまだ実用化するためには多くの課題があります。

ドローン配送の最大の課題は、

ドローンは人ではなく、機械である

ということです。機械であるが故に、配送中のドローン機体の破損や機体トラブルに伴う商品破損、重いものは運べないなどといった問題が生じてきます。また、配送中のドローンそのものが盗難にあったり、犯罪目的での利用が起きてしまうリスクもはらんでいます。早急にドローン配送を実現させるためには、法律やガイドラインをより細かに策定するといったルールづくりとともに、ドローンの開発技術の向上を目指していく必要があると言えます。

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